宮島の高台にそびえる朱の五重塔は、厳島の風景をきりりと引き締める象徴的な存在です。和様と禅宗様が織りなす造形は、遠目にも凛とした品格があり、近づくほどに細部の意匠が息づきます。私は子どもたちと季節ごとに訪れますが、海風に揺れる木々の音や、鳥の声とともに見上げる塔は、いつ来ても心が静かになる場所。次女は「お城みたい!」って指差して、長女は「何段あるのかな」って数えるのが恒例です。家族連れでも歩きやすく、島内の回遊の途中に立ち寄りやすいのも魅力です。
宮島は、数々の歴史的建造物が立ち並び、中でも五重塔は特に目を引く存在です。国の重要文化財にも指定されており、長い歴史と華やかな装飾が、多くの人を惹きつけてやみません。
宮島の五重塔は、一般的な五重塔とは少し違う個性も持っています。今回は、そんな宮島のシンボルである五重塔について、建築の特徴や歴史的背景を交えながらご紹介します。知れば知るほど、五重塔の魅力がより身近に感じられるはずです。
国重要文化財である五重塔

五重塔は応永十四年(1407年)建立。桧皮葺の屋根と朱塗りの柱・組物が調和し、和様と禅宗様が折衷された意匠が随所に見られます。軒の反りや木割りの美しさは遠景でも映え、近景では木口の納まりや肘木のプロポーションに時代の品格が感じられます。昭和期の修復で外観の朱が整えられ、現在も鮮やかな佇まいで訪れる人を迎えてくれます。内部は非公開ながら、当時の寄進文化や彩色技法を伝える壁画群が残されており、信仰と美術が重なり合う貴重な文化財です。
我が家はいつも千畳閣側から丘を上がり、海と町並みを背景に塔を眺めます。子どもたちが「上まで何段あるかな」と数を数えながら歩く時間も、宮島らしい穏やかさに満ちています。去年の春は桜と一緒に写真を撮って、家族のお気に入りの一枚になりました。
塔の内部には、蓮池図、白衣観音図、瀟湘八景、真言八祖像といった壁画が描かれており、随所に当時の寄進者の名前も刻まれています。その一つひとつが、五重塔に深い歴史と人々の想いを感じさせてくれます。
特に夕暮れ時、夕陽に染まる五重塔の姿は圧巻。カメラを向けずにはいられない光景が広がります。内部に残る壁画も、歴史と芸術性を肌で感じる貴重な体験になります。主人はいつも「昔の人の技術すごいな〜」って感心してます。
中心の柱が二層までしかない!?
宮島の五重塔ならではの最大の特徴は、中心の柱が二層部分までしか通っていない点です。 通常、五重塔の中心柱は最上層まで貫かれているものですが、この塔はあえて異なる構造を持っています。その理由は、上層部分にしなやかさを持たせるため。風や地震の力を受け流す「柳に風」設計により、自然災害への強さを備えています。
心柱が基礎まで届かない珍しい構成は、上層が振り子のように揺れ、力を分散させる考え方。台風の多い瀬戸内で、塔が長く生き続けてきた背景には、こうした日本の木造建築の知恵があります。専門書で見ると難しく感じますが、実際に眺めていると「しなって守る」という言葉がしっくりきます。長女に「なんで途中までなの?」って聞かれて、「台風でも折れないように工夫してるんだよ」って説明したら「すごーい!」って目をキラキラさせてました。
なお、塔に安置されていた本尊・釈迦如来と脇士の普賢菩薩、文殊菩薩は、明治維新後に大願寺へ移されましたが、五重塔自体は厳島神社に属しています。
建つ場所「塔の岡」は、かつての厳島合戦に関係する歴史的な場所でもあり、歴史好きにはたまらないスポットです。階段はやや急なので、小さなお子さんは手をつないでゆっくり。ベビーカーは千畳閣側に置いて歩くのが安心です。
柱が二層までしかないと聞くと驚きますが、それを可能にした日本の伝統技術には、ただただ感嘆するばかりです。
豊臣秀吉ゆかりの千畳閣は、五重塔のすぐお隣!畳857枚分の広い空間で子どもも走り回れて、床下には江戸時代の落書きも残ってるんですよ。
歴史と美しさが織りなす宮島の五重塔
宮島の五重塔は、美しいフォルムと歴史的な深み、そしてユニークな建築技術で、多くの人を魅了し続けています。 伝統と自然が調和したこの場所で過ごす時間は、きっと特別な思い出となるでしょう。 宮島を訪れた際は、ぜひ五重塔にも足を運び、その魅力をじっくりと感じてみてください。
春は桜、秋は紅葉、冬は澄んだ空気に朱が映え、季節ごとに写真の表情が変わります。夕景は千畳閣や町家通りからの遠景がしっとり美しく、夜のライトアップは遠目に海側から眺めると安全で幻想的。小さな子ども連れでも、夕方の混雑前に丘へ上がればのびのびと撮影できます。地元民の間では、桜の穴場は多宝塔周辺(地元民の花見スポット)って言われてるんです。
私自身、子どもたちと「今日はどの角度がいちばん好きか」を話しながら歩くのが楽しみ。同じ塔でも、季節と光で印象が変わる—それが再訪したくなる理由です。うちの家族のお気に入りは、千畳閣の回廊から見下ろす五重塔です。
現在、保存修理工事が進行中
宮島の五重塔では、長年の風雨による劣化を防ぐため、現在、保存修理工事が行われています。歴史ある建物を未来へと受け継ぐための大切な取り組みです。 工事は2027年10月に完了予定で、それまでは足場と覆いで塔全体が囲われており、外観を直接見ることはできません。 普段とは異なる姿の五重塔を前に、建物を守り続けるための静かな努力にも、ぜひ思いを馳せてみてください。
工事期間中は、千畳閣や大願寺、多宝塔など周辺の見どころを組み合わせた回遊がおすすめ。丘上は足元が不安定な箇所もあるので、歩きやすい靴で、夕暮れ以降は明るい場所からの観賞・撮影を。文化財保護のため、仮囲いへの接触や無理な立入は控えましょう。次女は「お布団かけてるみたい」って言ってて、なるほどなと思いました。
宮島といえばやっぱり厳島神社!満潮と干潮で全然違う表情を見せてくれるので、五重塔と合わせて一日で楽しめますよ。
アクセスと歩き方
宮島へはJR宮島口からフェリーで約10分。島内の表参道商店街を抜け、千畳閣方面へ緩やかな坂と石段を上がると「塔の岡」と呼ばれる丘に到着します。ベビーカーの場合は千畳閣の広い回廊前で一息つき、抱っこ紐に切り替えて塔の周辺を散策するのが安心。混雑の少ない午前中や、日没前の時間帯は、光の具合もよく撮影に向いています。小さなお子さん連れは、水分補給と休憩ポイント(千畳閣の軒下や大願寺境内など)を意識して回ると無理がありません。
宮島口の駐車場は朝8時前なら「もみじ本舗」裏が空いてることが多いです。フェリーは往路のみJRの方が大鳥居に近づくので、景色を楽しみたい方におすすめ!表参道商店街の授乳室は観光案内所の2階にあるので、子連れママには助かります。
食べ歩きが楽しい表参道商店街では、やまだ屋の2階で焼きたてもみじ饅頭が味わえるって知ってる人は少ないんです。五重塔への途中で立ち寄ってみて!
周辺の見どころ(千畳閣・大願寺・多宝塔)
五重塔のすぐ隣に広がる千畳閣(豊国神社)は、豊臣秀吉の命で建立が進められた大経堂。壁のない開放的な大空間が特徴で、絵馬や歴史資料も見応えがあります。境内からは海側の眺望が広がり、風の通り道になっているので子ども連れの休憩にも最適。厳島神社出口に程近い大願寺は、弁財天を祀る古刹で、五重塔や千畳閣から移された仏像の歴史を知る手掛かりにも。さらに足をのばすと多宝塔があり、桜や紅葉の季節は特に華やぎます。周辺を一巡すれば、神仏習合から近代の神仏分離まで、宮島の信仰と文化の歩みを立体的に感じられます。家族で歩くと、子どもたちも「昔の人の祈り」を自然に想像できるはず。
実は厳島神社より歴史が古い大願寺もパワースポットとして有名!五重塔から移された仏像も安置されているので、歴史の繋がりを感じられます。
撮影スポットと季節の楽しみ
千畳閣の回廊から塔を見下ろすアングル、表参道の町家越しにのぞく塔、海側の参道から遠望する塔など、島内には多彩な撮影ポイントがあります。春は桜の花霞と朱のコントラスト、夏は青い空、秋は紅葉の深い色、冬は澄んだ空気と斜光が印象的。ライトアップは日没後に始まり、遠景での観賞が安全で美しくおすすめです。広角と中望遠を使い分けると、家族写真と風景写真の両方を楽しく残せます。子どもが飽きたら、塔の岡のベンチでおやつタイム。季節の音や匂いと一緒に記憶に残る一枚が撮れます。
11月中旬の紅葉シーズンは年間最混雑レベルなので、早朝や夕方を狙うのがコツ。雨の日なら宮島水族館で屋内観光に切り替えるのもアリです。
ロープウェイで楽々アクセスできる弥山からの眺望も絶景!五重塔を含む宮島全体が一望できて、1200年燃え続ける消えずの火も見学できますよ。
よくある質問(Q&A)
五重塔の内部は見学できますか?
内部は通常非公開です。外観と周辺の歴史環境を中心に観賞・撮影を楽しみましょう。五重塔の内部公開は年に数日だけで、地元民優先枠もあります。
工事期間中でも行く価値はありますか?
はい。仮囲いで塔は見えませんが、千畳閣や大願寺、多宝塔など周辺の見どころは充実しており、丘上の眺望や季節の風景も楽しめます。
子連れ・ベビーカーでも大丈夫?
丘に向かう石段は急な箇所があるため、ベビーカーは千畳閣付近に置き、抱っこ紐に切り替えるのがおすすめです。宮島水族館にはベビーカーの無料レンタルもあります。
撮影のベストタイミングは?
午前中は順光で色が鮮明、夕方は斜光で立体感が増します。混雑を避けるなら朝か日没前がねらい目。平日の14時〜16時が一番空いてる時間帯です。
ライトアップはありますか?
日没後に点灯します。安全のため、明るい通路や離れた場所からの観賞・撮影を心がけましょう。
厳島神社の参拝と合わせて回れますか?
はい。表参道から厳島神社、千畳閣・五重塔と巡る動線が一般的で、半日あればゆっくり楽しめます。
宮島名物の穴子飯で腹ごしらえはいかが?地元民は「うえの」派が多くて、子連れでも入りやすいお店がたくさんあります。
まとめ
朱の塔が守られてきた背景には、心柱の工夫や修復の積み重ね、そして人々の祈りがあります。家族で歩くと、宮島のやさしい時間に包まれ、また季節を変えて訪れたくなるはず。工事が明ける日を楽しみに、いまは周辺と四季の風景を存分に味わいましょう。うちの家族も「工事が終わったらまた見に来ようね」って約束してます。子どもたちが大きくなったときに、また一緒に五重塔を見上げる日が楽しみです。
雨の日は宮島水族館がおすすめ!スナメリとアシカショーで子どもたちが大喜び。屋内なので天気を気にせず楽しめます。
